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    2017−2018季節性インフルエンザ予防および治療―最前線 

    一般に日本の本格的インフルエンザシーズンは12月ころから始まります。

    基本的に自然治癒しうる疾患ですが、乳幼児、妊婦、65歳以上、慢性心疾患、喘息やCOPDなどの慢性呼吸器疾患、腎疾患、肝疾患また糖尿病などの代謝性疾患がある人たちには重症化の危険がありハイリスクと呼ばれます。予防接種の効果は感染予防の他、感染した場合にも、これらハイリスク群の重症化や死亡率を下げることにおいても有効ですし、医療経費の点でも優れています。そこで、抗インフルエンザ薬の開発がすすんだとはいえ予防接種がインフルエンザ対策のファーストラインとして重要です。毎年WHOからの提案で予防接種の内容が決定されますが、昨年から1本の予防接種にA型 B型それぞれ2種の計4種の型が含まれるようになり、今季は、A/シンガポール2015H1N1, A/香港2014H3N2, B/2013山形, B/2013ビクトリア4種に対する内容となっています。

    感染はくしゃみ、咳、鼻水などの小さな粒子を呼吸器官に吸い込む飛沫感染により、1−3日の潜伏期で発症します。世界で使用される抗インフルエンザ薬の80%近くは日本で使われているといわれるほど、日本では抗ウイルス薬の投与が一般化していますが、治療の基本は対症療法であります。抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を早期に抑制することにより症状の進行を防ぐ目的で投与されます。使用頻度が増えるほど、耐性ウイルスは増加する仕組みがあります。日本では2010年に、新たに1回吸入薬イナビルと点滴薬ラピアクタとの2種の抗ウイルス薬が登場したことにより、インフルエンザウイルスの増殖を抑制するノイラミニダーゼ阻害剤は従来のタミフルおよびリレンザに加え4種類となりました。2009年に新型H1N1の流行がありましたが、今後、ウイルスの耐性化を防ぎ、次の新型流行に備えていくためには、本来、抗インフルエンザ薬の適切な投与が重要です。特殊な場合に、予防投与という考えがありますが、季節性インフルエンザ対策の第一線は予防接種をすることであり、抗インフルエンザ薬の予防投与は予防接種に置き換えるものでないことは熟知が必要です。

    また、治療においては、漢方薬の併用が効果的です。初期の発熱の症状に対して葛根湯、麻黄湯など発汗作用が期待できる処方を、微熱や咳の症状には消炎作用のある小柴胡湯、柴朴湯、竹如温胆湯などが有効です。一般風邪薬との併用も可能です。解熱剤には、アセトアミノフェン(タイレノール、カロナール、アンヒバなど)およびイブプロフェンなど小児にも安全なものを投薬します。ただしアスピリン(大人用バファリン)、ポンタール、ボルタレンはインフルエンザには使用禁忌です。御用心ください。

    師走も迫り忙しさが増すこの季節、日ごろから手洗い、うがいを習慣とし、深酒や喫煙を控え、睡眠、栄養を十分とり規則的な生活に心がけていただくことが重要であることは言うまでもありませんね。

    2017年11月27日 月曜日担当医師 山下明子

     

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